林間学校の夜、あるテントだけが明らかに異様だった

   2017/06/22

先輩の話。ボーイスカウトで林間学校の引率をしていた時のこと。夜も遅くなり、彼は各テントに消灯を命じて回っていた。あるテントに向かった彼は、奇妙な感じを受けた。他のテントは中で明かりが揺れているのに、そのテントだけは真っ暗なのだ。意外に早く寝たんだな、と思い近寄って、目を疑う。

そのテントは真っ黒な布のような物に、隙間なく覆われていた。何だこれは!思わず伸ばした手に、柔らかい和毛の感触がした。次の瞬間、テントを覆っていた影は、ふわっと宙に舞い上がる。目を丸くしている彼を残し、それは月夜を高く飛び去ったという。

「ごめんなさい、すぐに消灯します」テントから子供が顔を出し、慌てて言う。どうやらその子たちは、あの影のことには気づいていないらしい。彼は動揺を押し隠し、子供たちに「夜更かししちゃ駄目だぞ」と念を押した。その林間学校が無事終わるまで、彼はそこはかとなく不安だったそうだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

コメントはこちら

メールアドレスは公開されません。