【祠の宴会】山の神様とのいろいろな約束事

   2017/06/20

今の年代の人に、狩りをした事のある人は少ないでしょう。昔、私は祖父に連れられて、狸を捕る為に数度、山にトラバサミを仕掛けに行った事があります。山にも色々な約束事があります。うろ覚えですが、女山でしたので立ちションベンは、女神様に見える様に頂を向いてする事(性器を見えないように隠すと女神様が怒って遭難します)とか、お弁当は半分食べたら残りは家まで持って帰る事とか、狸の後足は、1本は女神様に御供えする事とか、他にも細かな注意が沢山あったはずでした。

ある夏休みの日、祖父の家に遊びに来ていた私は、川に泳ぎに行こうとして、気が付くと何故か山の中に居ました。昼御飯前に出たはずなのに、あたりは真っ暗で、訳が判らず泣いてしまいました。どのくらい泣いていたでしょう?

辺りがスゥ~っと明るくなって、顔を上げると、目の前に青い光が浮いていました。その光は優し、暖かくて、何故か彼女が助けてくれるのだと解りました。そして、漂い始めた光に付いて行き、山の麓に下りました。山の麓には幾つもの懐中電灯の光が集まっていました。その中に祖父の姿を見つけ、「おじいちゃん」と声を掛けると、祖父は飛んで来て私を抱きしめました。そしてすごい剣幕で怒り始めたのです。私が帰ってきたのは、家を出た翌日の夜だったのです。

その時です。私は変な事に気が付きました。周りを見回すと、そこは山から1キロ程離れた祖父の家の前だったのです。青い光は何時の間にか消えていました。その事祖父に話すと、祖父は宴会をすると言って近所の男の人達だけでご馳走を持って、山の祠の前で宴会をしました。僕や、従兄弟達、近所の男の子達も付いていきましたが、皆お酒を飲み、歌って楽器を奏で、踊って、大騒ぎでした。

後で聞いたのですが、「女神様が最近、人が山に入らないので寂しくなってお前を呼んだのだろう」と祖父達は言いました。その後、他にも一晩だけ、山へ消えた男子が出た事から、毎年夏祭りの後には山の祠で宴会をする様になったそうです。

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