いつもの定食屋にキョロキョロしながらやってきた若い女

   2017/06/17

俺がいつもの定食屋で昼飯を食っていると、若い女が一人、店に入ってきた。
席についてからやや所在なさげにあたりをキョロキョロ見回している。初めて来たのだろう。
「メニューはこちらになります」店員が教えた。
「あ、どうも。えっと……じゃあ、日替わり定食を」女は俺と同じ注文をした。
俺は定食を平らげ、いつものようにスポーツ新聞を広げた。

しばらくして、食べ終えた女はカバンを持って椅子から立ち上がった。
「ごちそうさまー」そう言って女は入口の引き戸を開けた。
「ありがとうございましたー、またよろしくお願いしまーす」店員が挨拶した。
女は後ろ手に戸を閉め、店を出ていった。

俺以外誰一人として気づいていないようだった。

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食い逃げした

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