【神隠し】神降ろしの憑坐として拐われた少女の体験談【かしこみ】

   2017/05/23

うちの昭和7年生まれのばあさんのさらにばあさんが子どもの頃のことだから明治か江戸時代??かもしれない話。それがわが家に伝わってきたのを書いてみる。そのばあさんが12歳ぐらいのときに神隠しにあった。当時は里子に出されたり人買いに売られたりというのを周りに隠すために「神隠し」と説明することもあったそうだが、そういった類のものではなく本物の神隠しだったらしい。

夕方、赤子だった弟の子守をしながら裏をぶらついていたと思ったら、いつのまにかいなくなってしまったらしい。赤ん坊だけがおんぶ紐といっしょに草の上で泣いていた。集落の若い者大勢が出てさがしたが見つからない。そのうち夜になって、街灯もない時代なので明日の夜明けからまた探そうということになった。

そうしたら、当時のじいさん(俺から見れもはや遠い先祖)がこんなことを言い出した。
「女の子の神隠しは神おろしの憑坐(よりまし)にしようとしてさらっていった場合が多い。憑坐の手順には普段使ってる櫛が必要で、さらっていった者か術をかけられた本人が取りにくることがある。だから櫛を隠しておけば目的が果たせなくなって子供が返されることもある」
そして、当時使っていた櫛を箱に入れ、自分が寝ている納戸に持っていったそうだ。

それからじいさんは本当はネズミがいいんだが時間がない、と言いながら大きなガマを捕まえてきて鎌の先で腹を割き、内蔵を櫛にまんべんなく塗りつけた。同時にアワかなにかの実をぱらぱらふりかけた。その晩じいさんが櫛の箱を枕元において寝ていると、なにかがやってきた気配がある。じいさんは起きていたんだが体が動かないし、叫ぼうとしても声も出ない。そのときに笹みたいなにおいが強くしたそうだ。

何かかなり大きな妖物がきている圧迫感がある。妖物は枕のすぐ上にある櫛箱に手をかけたようだが、ビーンと弾く音がして、さらにパシッと叩きつけられたような固い音がした。そして「けがれ・・・」という咳が言葉になったような声がして気配が消えた。しばらくじっとしていたら体が動くようになったんで。明かりをともしてみると櫛が箱から出て床に落ちており、櫛の歯がばらばらに折れていたそうだ。

で、ばあさんは昼前に集落の氏神の森から歩いて出てくるところを見つかった。本人にさらわれていた間の話を聞いてみてもまったく要領を得ない。
「木の葉がゴーッと鳴って目の前が白くなり立っていられなくなってうずくまると、背中の赤子が、まだしゃべれないはずなのに「か・し・こ・み」と一語ずつはっきりと声に出した。さっと太い腕でかつがれた感じがして、そのあとは貝の裏側のように虹色にきらきら光る場所でずっと寝ていた。まぶしくて目を覚ますと鎮守の森の入り口のあたりにいたんで家にもどろうとした」と言う。

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