【時空系】幼い頃に無くした物を遠く離れた場所で見つけた話

 

子どもの頃、北海道の根室ってところに住んでたんだ。幼稚園児だった俺は毎日お気に入りの青いプラスティックバットを抱えて公園に出かけていた。ある日、そのバットを放り出したまま遊んでいたら、いつの間にかなくなっていた。泣きながら暗くなるまで探したが、結局バットは出てこなかった。

翌日も、その翌日も、幼稚園から帰ってくるとすぐ公園に行って探したけど、結局出てこなかった。その1年後、父親の仕事の都合で京都に引っ越した。そんな出来事も忘れ、8年という月日が流れた。俺は高校3年生になっていた。受験した大学は全て不合格となり、進路も決まらぬまま卒業式を間近に控えていた。

そう、あれは予備校からの帰り道。近道のため、家の近所にある公園を横切ったんだ。ふいに俺のつま先に何かがコツンと当たった。青いプラスティックバットだった。ああ、懐かしいな。俺もこんなの持ってたっけ。シールがはがれたあともそっくりだった。そうそう、こんな感じにシールがはがれていて、この反対側にお母さんが名前書いてくれて・・・

俺の名前が書いてあった。ひらがなで、大きく。俺は急に怖くなって、そのバットを放り出して急いで家に逃げ帰った。8年も前に、北海道の片田舎でなくしたバット。なぜ今、京都の公園に転がってるんだ・・・。

怖くて仕方がなかったが、どうしても気になってもう一度公園に行ってみたんだ。その間、5分くらいだっただろうか。もうそのバットはどこにもなかった。今思い出しても寒気がする。実話だぞ。

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